外は、夏晴れ…



 俺は寝不足…

 必要なものは勇気…





 俺は、そんな事を考えながら、窓の外を見ていた。


 いつの間にか、皆、期末テストの準備に追われる日々になっていた。


 メンドクセぇ…

 俺は、頬杖をついて、窓の外を見て溜息を吐く。



 チャイナの事が好きなら、自分で言わなきゃいけねぇだろ。

 ああ、加納にもちゃんと返事しねぇとな…


 あああッ!!マジでメンドクセぇ!!





 俺は心で叫び、一人机に突っ伏した。









 …





 ……





 ………








 俺が、一人悩んでいると、皆の視線が此方に向いている様に思えた。

 マジマジと見られている訳では無いのだが、チラチラと見ては友人と囁き合っている。



 ったく、俺が何やったって言うんだよ。


 俺は、ウンザリとして、空を見た。

 朝っぱらから、ムシムシとムカつく天気だぜ…




 イライラと外を見ていると、始業のチャイムが鳴った。



 今日も、退屈で面倒な一日が始まるか…

 そんな事を考えながら、横に座っているチャイナをチラリと見た。
 いつも通り、もの静かな女の皮を被り、文庫本なんて読んでやがる。

 家じゃ、こち亀かゴルゴしか読まねぇ癖しやがって…






 皆も、席に着き、1時間目の用意を始める。

 それでも、皆の視線が度々俺の方に向いていた。



 俺が何かしたのかよッ!!





 ったく、暑さと視線でイライラの数値が限界に達しようとしていたその時、



 『ブブブブブブブッ』 と俺の携帯が震えた。

 気を紛らわそうと、携帯を見るとメールが一通届いた様だった。



 「ったく、誰でぇ」

 そう呟き、メールを確認すると、加納からだった。



 題名は 『沖クンへ』 で、中身は


  『 オハヨー沖クン。

   コンビニで一緒にいてた留学生の子、援交してるみたいだよ。
   生徒も何人か相手してるみたいだし、担任の銀八先生もその一人だって。

   沖クンも気をつけてネ。詳細はココ 』


 と、ご丁寧にHPのアドレスまで書いてあった。

 根も葉も無い噂があるみてぇだったが、俺は知っている。
 チャイナがそんな事していないのは一緒にいてる俺が一番知っていた。



 「アホらしい…」

 そう言って、携帯をポケットに直した。



その時だった…








 ガラっと扉が開き、月詠先生が入って来た。

 皆一様にそちらの方に注目しているが、全く気にした様子も無く歩く。


 そして、他には目もくれず、俺の方に向かってくる。




 やべぇ、俺のやった何がバレたんだ?
 喧嘩しているのがバレたんならまだいいが、チャイナと同棲している事は…








 マジぃ…

 俺の席に、一歩一歩近づき、パッと目があった。



「何……」

 俺がそう言おうとした瞬間、月詠先生とは目線が外れ





「神楽じゃな。ちょっと、生活指導室まできてもらおうか」




 チャイナを見てそう言った









 ……えっ!?



 一瞬俺が呆気に取られていると、チャイナは一言も発さずに、席を立つ。
 そして、月詠先生が



「ああ、それと1時間目は自習じゃ。各自自分で勉強しておくように」


 そう言い残すと、一言も話さず立ったチャイナと教室を後にした。








 自習となった教室は、チャイナの事で持ち切りになった。

 皆、口ぐちに適当な事を抜かしてやがる…



「ああ、俺もさぁ神楽と一発ヤっちまってさぁ」


 調子の良い男が一人、チャイナについて茶化して話し始める。
 ワイワイと話しながら、チャイナの席につき、




「次は、沖田も一緒にヤるか?」

 と、笑いながら慣れなれしく肩を組んで来た。










 ハァ…








 何、テメェ…



 死にてぇのか…








「……違ぇだろ…」




「何?どうした沖田?もしかして、お前も、もう一発ヤッた?」


「何知ってんだ……」









「ん?」




 チャイナと一緒に過ごした記憶がフラッシュバックしてくる。




























 澄まし顔…


























 笑い顔…


























 怒り顔…






























 辛い顔…

































 泣き顔…






















 そんな喜怒哀楽の激しいチャイナ…
















 俺の好きなチャイナの事を…


























 テメェに…



























 テメェにぃ…





























「アイツの何が分かるって言うんだッ!!!!!」



 そう大声で叫んだ時には、そいつの顔面に拳が飛んでいた。












「テメェに何が分かるんだ!!!!!ああぁああ!!!言ってみろよ」

 馬乗りになって、殴り続ける。



 女子生徒は 「キャー」 と大声で叫び、教室はパニックになっていた。

 男子生徒は、俺を止めに入れず、
 アタフタとしながら 「沖田やめろっ」 とか遠巻きで言っている。


 だが、俺は殴り続けた。
 何も、しらないお前らが、言って良い事じゃねぇだろぃ…




「テメェ…チャイナの何知ってんだぁ…言ってみろぃ」
「ご…ごめ…」


 血だらけの顔で、そう謝って来る。

 あぁ、何も知らねぇんだな…



「だったら、知った風な口叩いてんじゃねぇよ!!」





 俺は、渾身の右ストレートを振りかぶった。













「もう終わりだ。これ以上したら本当に死んじまうぞ」




 俺の右手を銀八が掴んでいた。


「ああッ!!関係ないだろぃ。こいつがチャイナをバカにしたんだッ!!」









 掴まれた手を振り払おうと暴れていると、
























「そんなんじゃ、アイツを守れねぇ」









 そう言って、俺の右頬を殴った。
 俺は、激しく吹っ飛び近くの机に激しく背中を打ちつけられる。




 銀八は俺の方を蔑むように見て、


「お〜い。誰か小西を保健室に連れて行け。俺は、この馬鹿を生活指導室に連れて行きま〜す」




 茫然と銀八が喋る言葉を聞いていると、俺の前に来て


「行くぞ」





 そう短く告げた。












 俺は、何も言わずに銀八の後ろをついて行く。


 銀八は、スリッパをペタペタと音を鳴らしながら、無言で歩く。
 俺は、銀八が俺を殴る前に言った言葉を思い出していた。









 守れない…





 少し前、土方にも同じ言葉を言われたからだ。


















 俺の知らねぇチャイナの…






 何を知ってるっていうんだ…







 モヤモヤと考えていると、ペタペタと言う音が俺の頭に嫌に響いた。




 いきなり、銀八の足が止まり、自分の胸ポケットから煙草を取り出し、

 廊下の窓をガラガラと開け





 そして、煙草に火を付けた。











 意図が全くわからず、その仕草を目で追っていると



 銀八は俺の方を向き






「まぁ、若いって良いなぁ…甘酸っぱい事も多いし」

「ハァ?何言って…」









「まぁ、なんだ」



 奥歯に物の挟まった様な言い方をする。




 そして、何も言わず俺の方を見つめる…

 俺は、その沈黙と視線が嫌で、目を逸らし





「先生…早く、生活指導室いきやしょうぜ」


 そう言って、先に俺が生活指導室へと歩き出した。











「気ぃ落とすなよ」


 そう背後から声をかけて来た。





 俺は、無言を貫き歩き続けると


 銀八も後ろから俺を追いかけて来て














「神楽……」












































「転校したから……」





















 一瞬、何もかもが止まった。









 俺は、意味が分からずに、ただ茫然と銀八の方を振り向いた。


































  
 沖田 総悟
  一応、この話の主人公。小西を殴って少し怒られた



  
 銀八
  3Zの担任。生徒の小西を何故か目の敵にしている



  
 月詠
  女子の体育教師。小西の事はアウトオブ眼中








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  パラレル編の11話目です。満足していただけましたでしょうか?

  やっと、沖田と神楽が出て来たと思ったら…

  転校!!
  どうなんのコレッ!!!!!!

  今後の展開を誰か教えてください <オイッ

  もしよかったら、感想をくださいv 待ってますΣ^^









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