朝起きると、台所からいい匂いがしてくる。




 味噌汁の匂いだ・・・


 今日は、姉が来てるんだろうか・・・






 そう、ボーッと考えていると、チャイナがいた事を思い出す。




 ヤバイ何て言い訳をしたらいいんだ!!


 そう思い、俺は、布団から飛び起きた。






「違うんだ。姉さん・・・」





 そう切り出し、俺は喋るのを止めた










「誰が、姉さんアルか。私は末っ子ヨ」



 台所に立っていたのは、チャイナだった。










「チャイナ・・・お前、何やってんだ」








「何って、朝ご飯作ってるアル」





 俺はその姿を呆然と見ていた。






 チャイナがここに来て、数週間が経っていた。



 外は、もう夏間近という時期に来ていたが、今の今までチャイナが朝飯を作った事なんて無かった。





「お前・・・飯作れるのかよ」


「悪いか?普通に作れるアル」



 それなら、今までも作ってくれたら良かったのにと心に思い





「先に言っておくけど、お前の為に作ったんじゃないアルからな。いつものインスタントに飽きただけアル」




 そう言って、 「早く布団あげろヨ」 と言う言葉をうけ俺は布団をあげに食卓に戻った。









 朝飯は思った以上に普通だった。それに昼飯として、おにぎりをくれた。



 アイツなりの居候としての自覚がでてきたんだろうか・・・


 そんな事をしていると、登校時間になりチャイナは学校に行く。






 それから、少し遅れて俺も部屋をでた。


 これは、いつもと同じ光景だ。














 まぁ、暗黙の了解になっているが、学校では俺たちが同居している事はもちろん内緒にしている。



 まぁ、だれも俺の事なんて気にして見ちゃいないんだろうけどなぁ・・・




 いつもの様に、ダリーなぁと思いながら授業を受けてた。


 昼休みになり、今日はアイツが作ったおにぎりがある事を思い出す。

 すると、教室で食うのが何だか恥ずかしくなり、屋上へ行く。




















 この時期になると、屋上は少し暑く、人もいない。




 俺は、適当にその辺の淵に座りアイツが作ったおにぎりにかぶりつく。



 コンビニのおにぎりと違い、温もりを感じる味だった。


 少し、ニヤケながらおにぎりを頬張っていると、






 背後から人が抱きついてくる。



 チャイナとは違い、ほんのりと化粧品と香水の匂いが鼻孔をくすぐる。



「なぁーに、沖クンが自炊なんて珍しいわね。それとも彼女でもできたの?」


 そう言って、俺の背中から女は乗り出して来る。


 にしても、女の勘は鋭くて仕方ねぇ・・・一瞬ドキッとしてしまう。







 俺は何もなかったかの様に

「金がねぇんだよ。だから今日は自分で持ってきただけでさぁ」



 そう答えると、女はこちらの横に座り 「ふーん」 と気のない返事をする。


 コイツの名前は 『加納 翔子』 ギャル系で派手目、

 今は俺の横のクラスY組



 2年の頃は、男はとっかえひっかえ遊んでいた。


 その、悪戯が過ぎて、頭の悪そうな奴に引っ掛かり、絡まれていた所を、

 俺が丁度助けた事が縁の奴だ。


 まぁ、出会いはチャイナとほとんど変わらねぇなぁ。



 俺も奇特な人間だなぁと自分で苦笑してしまう。




 そうだな、この学校で唯一喋りかけてくる人間だ。








 そう考えるとコイツも奇特な奴だなぁ・・・






 俺はそんな事を考えながら、おにぎりを食っていると、翔子が 「少し頂戴よ」 と言って俺の手からおにぎりを奪う。

 そして一口食って、横に置いてある俺のペットボトルのお茶を飲む。




 そして、唐突に


「ねぇ。沖クン私と付き合ってよ・・・」


「あぁ。また今度な・・・」

 俺は気のない返事をする。コイツの言う事は本気にしちゃいけねぇ。


「また、はぐらかす!!私、今は誰とも付き合ってないし・・・」


 ウンザリ顔で翔子を見て


「今は、女にゃあ興味ねぇんだ。他あたってくれ」





 そう言うと、翔子が唇をあわせてくる



「私、沖クンになら何されても・・・気にしないから!!」





 俺が、呆然としていると








「それとも、あの地味な留学生の方がいいの」





 それに対して、俺は言い返さない。





「この前、コンビニで一緒にいる所を見たけど、私・・・諦める気・・・無いから!!」




 そう言い残して、校舎の中に駆けて行く。











 俺は、先程キスをされた唇を触り、自分の手にあるおにぎりに目をやる。



 俺が好きなのは・・・





 物思いに耽っていると、翔子が出て行った扉が開く。



 そこにいたのは、チャイナだった・・・


「何で、あの子を振ったアル」



 少し、考えて


「お前・・・どこから見ていたんでぇ・・・」





「あの子にキスされている所から・・・見てたヨ」



 なんて間が悪りぃんでぇ・・・

 俺は心の中で毒づく。


「見てりゃ、わかっただろ・・・俺はアイツにゃあ興味ねぇんでぇ」




 アイツは、俺から視線を外して

「あの子、化粧もしてて、いい匂いもしてたアル・・・綺麗だったネ」

「まぁな。そうかも知れねぇな・・・」


「それに、お前があんなに楽しそうに他の人と話しているの初めて見たヨ」


「俺に関わろうとする奴なんて、ほとんどいねぇからなぁ」



 俺は、自分を馬鹿にした様に口の端を上げて言う。

 するとアイツは何かを吐き出すかの様に苦しそうに




「お前は、私に・・・付き合ってくれてるアル・・・」



「まぁな」














「でも、アイツとはキス・・・したアル・・・好き・・・なんダロ」







「だから、言ってるじゃねぇか。俺はアイツにゃ興味ねぇんだって」





「じゃあ、私は・・・」














「私はどうアルか」









 いきなり何言ってくるんでぇコイツは・・・





 俺は・・・



 俺は・・・




 チャイナの事どう思ってるんだ・・・










 一緒にいると楽しいのは確かだ・・・



 だが、それは好きだからなのか・・・



 チャイナは他人との接触を極端に嫌う。

 未だに友達はいないみてぇだ。







 それなのに、俺にだけは・・・


 俺は、自分の心のスパイラルに陥っていく・・・





「俺は・・・」


 そう口を開き、チャイナの方を見る。


 アイツも体を強張らせて俺の次の言葉を待っていた。








「俺は・・・」




 そう言った途端、昼休み終了のチャイムが鳴る。




 それと同時にアイツは踵を返して校舎へと戻って行く。






 俺は、それを見送り、屋上に大の字に寝転ぶ。












 照り付ける太陽を見ながら考えた。









 俺は、チャイナが好きなんだろうか・・・




 チャイナはどう思っているんだろうか・・・






 俺は・・・



 俺は・・・






















 その考えは下校時刻を過ぎるまで、屋上で考えていたが答えは出なかった。



 家に帰って、アイツと話をしよう・・・











 どれだけ夕焼けを見ても、気持の整理はつかないままだった・・・






























  
 沖田総悟
  特技は、バックレ。よく5・6限目を休むw



  
 神楽
  特技は、おにぎり。これを食べると満腹度が上がるw



  
 加納翔子
  特技は、化粧。沖田の事が好きな今時の女の子!!












 007












 パラレル編の6話目です。満足していただけましたでしょうか?

 神楽に強敵が現れました。その名も加納翔子!!w
 オリジナルキャラですが、今後とも宜しくお願い致します^^
 名前の由来が分かった人はすごいです!!

 感想ありましたら、よろしくお願いします!!












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