俺の頭は混乱した。





 アイツは土曜だと言うのに、学校の制服のまま
 俺の部屋に勝手に上がり込み、適当に鞄を置いて行く。


 つけていたテレビから、マンションがガス爆発を起こして
 何やらかんやらってニュースが流れているが、俺の頭がガス爆発だぜ。




「おい。そんな所に突っ立ってないで、後ろ向いてろ。服着替えるアル」



 俺は、言われた通り、後ろを向き、混乱した頭で色々と考える。






 何だよコレ・・・



 衣擦れの音が聞こえ、制服を脱いでいるのがわかる・・・

 いきなり部屋に来て着替えるとか、何考えてやがるんだコイツ・・・




「ほら、お前も着替えるアル」



 アイツの服装は、思った以上にカジュアルだった。

 Tシャツにジーパン。

 
それに普通のキャップを被った奴がいる。




 俺が適当に服を着替えおわると、


「じゃあ、行くアル」






 と言われて俺は山手線に乗り、今、ロフトの前にいた。















 流石土曜日の昼間、人がゴミの様だ。


 アイツはと言うと、何が珍しいのかわからないが、周りをキョロキョロと見回し、楽しそうにしている。





 まぁ、こっちに留学してきたんだから、わからんでもねぇな。

 「おい。この帽子、私に似合いそうアルか」 とか聞いてくるのがダリーんですけど・・・





 ここなら何でも揃うだろう。







 目的のパジャマやらを購入していくアイツ。


 女の買い物は何でこんなに長げぇんでぃ・・・





 俺は燃え尽きそうになったので


「なぁ、少し休まねぇか・・・。チャイナ、飯まだだろう・・・」






 そう言うと、思い出したかの様に


「そうアル。昼飯まだだったネ」



 適当に中に入ってる店に二人して入った。











 俺は、店員に飯を頼み、うんざりした顔でチャイナに尋ねる。


「もうある程度のもの買ったよなぁ」

「まだアルよ。布団と・・・あと部屋用スリッパとか欲しいアル」


 そう目を輝かして言ってくる。



 全部俺の金なんだけどな・・・



 アイツ曰く 「男なら笑顔で金を出すアル」 とか

 ジャイアニズム全開の理論を展開し俺はそれに丸め込まれてしまった・・・






「おまたせしました」



 と言って店員が運んできた飯を食い終えると、俺にとって辛い “後半戦” が始まった。










 ロフト内をもう5周して、

 チャイナが満足した頃には、外は夕日に照らされていた。









「もう、こんな時間アルか。時間は経つのは早いヨ」

 背延びをするチャイナを見ながら俺は、ヘトヘトになっていた。



 そりゃ、昼から夕まで買い物してりゃあ疲れでさぁ・・・



 てか、どうすれば、こんな大荷物になるんでぇ・・・












 ロフトから駅への道を歩いていると、


 アイツが露天で足を止めた。






「これ欲しいアル」



「おっ、嬢ちゃん良いのに目をつけるねぇ」





 そう言って指差した先には、白い犬の目覚まし時計。


 アイツは俺に対して欲しい光線を眼で出してくる。






 ただ男の風貌で、買う気が失せる。

 グラサンに顎鬚でどう見ても、 『まるでだめなおやじ』 略してマダオの風貌だ。




「ここじゃねぇ所だったら買ってやらぁ」



 俺が、そう言うと、唇を尖らせて 「欲しいアル」 の連発・・・


















 チャイナは目をうるませて俺に訴えかけてくる・・・












 それ反則だろうが・・・





「わーったよ。買ってやらぁ」



 俺が言った途端に抱きついてくる。



「アリガトアル」



「よっ、兄ちゃんカッコいいねぇ。嬢ちゃんイイ彼氏もったねぇ」



 とマダオが言う。





 何かメッチャムカついたのでソイツのグラサンを蹴って割ってやった。



「うあぁぁぁぁ俺の命がぁぁあああ!!」







 その叫びを聞いたら、心がスッとした。































 満員の山手線に揺られ最寄駅に着いた頃には、どっぷり夜になっていた。



「なぁ、今夜は何食べてぇんだ?コンビニにするか」

「あ、お前んちの近くにあったバトルロイヤルホストに行きたいアル」


 良く考えてみると俺も、引っ越してきた頃は、何でも物珍しくて探索した様に、コイツも色々と行きたいんだろう・・・




 いつもコンビニの飯だったので、向い側に相手がいるのも・・・

 悪くはねぇな・・・





 ひとしきり飯を食った後、ダラダラと歩きながら帰っている時に、気になる事を聞いた。





「なぁチャイナ・・・何で、俺んちに来たんでぇ・・・」




 すると、少し小走りをして、電柱の光があたる所まで行き、


「乙女には秘密がつきものヨ。男は懐がデカイ方が男らしいアル。気にせず受け止めろヨ」



 そう言って、口に指を置いて 「シーッ」 と言うポーズを取る。


 可愛い仕草を見せるアイツに少しドキッとするが、

 すぐに歩みを早める。 「あっ、待ってヨ」 と言う言葉を聞いたが
 自分が赤くなっているのを気付かれたくないので、歩みを止めず歩き続けた。




 そんな仕草、俺に見せるなよ・・・



 一緒にいるのも悪くねぇって思っちまうじゃねーか・・・













 部屋に戻ると、グチャグチャな部屋の参上をみてウンザリした。


 ああ、そういえば、起き抜けに連れ回されたんだっけか・・・

 ウンザリしながらも、適度に部屋を片付ける。






 風呂からあがると、

 思った通り、俺のベットはもう俺の領地から離れアイツのモノになっていた。


 アイツは持ち込んだ 『こち亀』 を読んでいる。


「おいチャイナ、もう寝るぜ」

 「もう少し読むアル」 とダダをこねるアイツから、 『こち亀』 をぶんどり、
 俺は布団をひいて、部屋の電気を消した。



 今日も終わりを迎える。


「・・・襲うなよ・・・」

「お前こそ俺の布団に入ってくるなよ」

「誰がいくかヨ」



 何て長い一日だったんだ。

 ゲッソリする俺だが、明日からの事を考えると、もっと憂鬱になるので考えないようにする。






 明日は、いい日になってくれ・・・



 俺を自由にしてくれ・・・





 そう思いながら、寝に入る。










 アイツが小さな声で 「オヤスミ」 と言った。

 それに対して、俺は、寝た振りをして答えなかった。





 すると、ベットの上から俺の頭にがいい角度で蹴りが入った。





















  
 沖田総悟
  必殺技は、グラサン割りw



  
 神楽
  必殺技は、ジャイアニズム全開の理論攻勢w



  
 MADAO
  まるでダメなオヤジ略してマダオ。アイデンティティはグラサンのみw






 006













 パラレル編の5話目です。満足していただけましたでしょうか?

 一緒に住むなら、色々と買い物が必要だろうと思って、
 今回は、買い物編でした。
 可愛い神楽に対して、引っ張られっぱなしな沖田のテンパリ様は必見です^^
 これでhopの序章終了です。って、長いですーッ!!(爆)

 感想ありましたら、お願いしますw














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