今日は、姉から電話があり、夕飯を御馳走してくれるらしい。


 話によると、アイツは今日は遅いらしいので会う事はないだろう。



 って、事で新婚である姉の家に行く。






 綺麗に片付いたデザイナーズマンションの一室。
 俺は、出てきたカレーに口をつけていた。


「総ちゃん。ちゃんとご飯たべてる?」
「食べてるよ」
「総ちゃん。一人だからってコンビニばっかり行ってないでしょうね」
「行ってないよ」

 そう言う、母子の様な会話をする。

 まぁ、俺にとっちゃ、姉が母親代わりだったからしょうがないんだけど・・・
 軽い世間話をしながら、二人の夕飯は終わる。

 無理矢理タッパーに詰められたカレーのお土産つきだ・・・


 俺が飯を終えてリビングで、ゆっくりとテレビを見ているとダルそうな声と共に一人の男が帰ってきた・・・

「よお。総悟・・・来てたのか」

 来ていた背広の上着を姉に預け、ネクタイを緩めている。
 こいつが、俺の姉を取った張本人だ。


 姉がコイツの上着を直しに別の部屋に行った瞬間


「お邪魔してますッ」

 『ッ』を言うと同時に座っている位置から、すかさず顔に向けて蹴りを見舞った。



 が、それを右手でガードし、アゴに蹴りをかましてくる。

 避けるが、僅かにかする。

 それだけで、脳が揺れた。


 その攻撃を受けると同時に左手で殴りかかる。

 それを掌で受け止めたアイツは


「熱烈な歓迎だな。弟よぉ」
「死ねや・・・土方ぁあ!!」


 俺は、受け止められた左手に力を込めて押し込もうとするが、その時奴の蹴りが俺の腹にめり込んだ。

 胃の中から食べたカレーが飛び出そうになる。


 腹を抱えもんどりをうつ俺に、冷たい視線で土方は話かける


「いつまでも、シスコンだなぁ。もう、ミツバは俺のモノだってのによ・・・」
「この野郎・・・土方ぁぁ・・・」


 本当にイラつく奴だ。


 まぁ、俺は少し姉に対して過剰な反応をしているのかもしれないが、決してシスコンなんかじゃない。

 それより何だよコイツ。
 サラリーマンならサラリーマンらしく不良にやられろよ・・・


 俺は、自分の腹の具合を確認し、何とか立てると思ったので、立ち上がる。


「まぁ、十四郎さんも総ちゃんも仲がいいんだから」


 姉が笑顔で、リビングに戻ってくる。




 胸糞わりぃ・・・



「じゃあ、姉さん・・・帰ります。」


 そう、一言告げて、部屋を出ていく。



 姉が 「カレーは?」 と言うが、聞こえないふりをして、玄関まで行く。


 すると、土方が 「たまには道場行けよ。テメェ弱すぎるぜ」 そう言う声が背中に刺さるが、
 それも聞こえないふりをして、マンションを出た。








「クソッ・・・土方死ね!!」


 イライラする気持ちのまま、家に帰ってもシャクなんでコンビニに寄る事にした。






 まぁ、適当に雑誌を読み、自分の気持ちが落ち着いてからコンビニを出た。




 街は2つの顔を持っている。

 昼の顔と、夜の顔だ。




 どちらかと言うと、俺はこの、荒廃したような夜の街が好きだ。



 自分の性格にあっているんだろうなと、この頃思う。








 俺は、アイスを口にくわえて家へと向かって歩いていた。



 その時、またアイツがいた。
 ピンク色のお団子頭が、男数人に囲まれれている。


 今回は、前回と違い、どう考えてもアブナイ人たちっぽい・・・




 俺は、心の中で毒づく、なんでアイツはこんな時間にこんな所歩いてるんだよ馬鹿が・・・



 前回と違い、今日はムシャクシャしていたので、行動は早かった。





 まず、後ろからアイツの前にいる男を蹴り飛ばし、アイツの手を取って逃げる。


 不良がいくらいようと負ける気はしないが、本職さんとのケンカは願い下げでさぁ・・・





 後ろでは 「待てや餓鬼ぃぃ」 などと言いながら、追いかけてくる奴らを俺は、全速力で走りながら、撒く。



 口の中に酸っぱいものがこみ上げてきた。

 こんな事なら、カレーは一杯でやめとけばよかったと、思いながら走っている。




 びっくりした事に、俺に手を引かれながらもアイツはついてきている。






 大したもんだ。陸上部の奴にも負けない俺の脚についてくるなんてスゲェなと思いつつ走り続ける。













 数分走り、逃げ切れたと思ったところで、近くの公園のベンチに座った。


 いつ、カレーが反乱を起こすかわからない。

 アイツは、いつも通り分厚いメガネをかけているので、表情は分かりづらいが、そんなに疲れている様子はない。


 俺は近くの自動販売機でジュースを二つ買い、一つをアイツに投げ



「チャイナ・・・すげーなお前。俺の脚についてくるなんて・・・」
「当然ある。テメェに負ける程、遅くないアル」

 と、さも当然の様にジュースに口をつける。





 俺の金だとは言わないが・・・





 で、先程の事を思い出して


「お前の、実家では夜、外を歩いても安全だったかも知れねぇが、ここカブキ町じゃ危険が一杯だ。もう、夜は外に出るなよ・・・」


「何言ってるアルか!!私は全然危険じゃないアルよ。あんな奴ら一発KOアル」



 また、妄想に入っている同級生に溜息をついて、色々言っているが適当に聞き流す。


「でも、アリガトウネ!!楽しかったヨ」



 そう言って、笑顔で言われたら満更じゃねぇ・・・




「ま、たまたま近くに居ただけでさぁ。俺も楽しかったぜ」



 そう言って、二人ベンチに座り笑い合った。




「で、送って行ってやるよ・・・」


 そう言って、チャイナに家に帰るよう言うと、


「嫌ヨ。今日は帰らないネ・・・」



 おいおい・・・

 俺にどうしろってんだよ・・・




「お願いネ。泊めてくれヨ・・・」








 月明かりの下、猫なで声で言われる・・・





















 俺の胃の中のカレーが暴れ始めた・・・




















  
 沖田総悟
  土方の義弟。イライラしてたらどんな人にでもキレますw



  
 神楽
  謎の転校生。走力は高校総体レベルw



  
 土方十四郎
  総悟の義兄。現在、某大手メーカーの係長。同期の出世頭!!



  
 ミツバ
  総悟の姉。シスコンの弟をもつが、おっとりした性格なので気にしてないw









 004







 パラレル編の3話目です。満足していただけましたでしょうか?

 出てきました!!強敵、土方十四郎wもうミツバさんと結婚済みですw
 あんな義兄だから、総悟クンはすれちゃったんでしょうね!!
 それに神楽チャンにあんな事言われて『どうする俺・・・どうする!!』
 と、カードをどれにしようか総悟クンは考えているでしょう(ライ○カードのCM)
 どちらにしろ・・・続くvv

 感想ありましたら、お願いします^^







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