空は、晴天・・・



 俺は寝不足・・・

 必要なものは沢山・・・





 だけど、メンドクサイ・・・


 俺は、そんな事を考えながら、窓の外を見ていた。
 いつの間にか、高校3年になり、皆、進学だの、何なのと、せわしなく動いている。


 メンドクサイ・・・

 俺のやる気は人一倍無かった。



「でー静かに・・・今日は、転校生ちゅうーか留学生を紹介する。」


 入ってきた途端、銀八は捲し立てる様に告げる。
 皆が、一様にその留学生に注目した。


「中国からの留学生。神楽ちゃんです」

 男どもからは、どよめきがあふれ、女たちは冷ややかな目で見ている。




 まぁ、俺にとっちゃ、どうでも良い事だ。

 関心なく、窓の外を見ていると、隣の空いた席に女が座った。



「まぁ、皆仲良くしてやれや。って事でHR解散」


 横に座った女は、桃色の髪の毛をお団子にし、瓶底メガネ、冴えない容姿だ。

 ちらっとそれを見て、俺は興味を無くし空を見る。




 雲になりてぇな・・・













 俺が、この女にビックリしたのは、人との接し方だ。

 休憩時間に女子が執拗に話しかけてはいるのだが、無視ときたもんだ。
 もちろん。男子も例外なく玉砕している。

 この女は、誰に対してもこんな態度なんだろうか・・・

 こういうガリ勉タイプは人と接するのが得意な人は少ないだろう。


 まぁ、俺には関係ないか・・・

 俺は、そんな事を考えながら窓の外を見ていた。






「教科書・・・見せてアル」


 授業が始まり、いきなり俺に声をかけてきた。
 別に俺は、勉強大好きって訳じゃないので、言われたとおり、教科書を投げ渡す。

 それを受け取ると、俺の机に机をよせて来た。


「別に俺教科書いらねぇから、オメェつかっていいぜ」

 寄せて来る机を離し、そう答える。
 別にいつも寝てるだけだから教科書があっても意味がない。


「でも、お前に借りを作るのイヤネ。一緒に見ろヨ」


 そう言って、意地でも机をくっつけにくる彼女に根負けし、俺は渋々了承する。


 近くに来ると、桃の様な香りがふわりとした。彼女の匂いだろうか・・・

 そんな事を考えるが、バカバカしくなり考えるのをやめる。






 そうして、今日の授業は全部寝る暇もなく、終えてしまった。

 俺も律儀に全ての教科書を見せている所で馬鹿なのかも知れない。



 夕方、俺はボーッとしてから帰る。
 他の人と群れるのは好きじゃない。

 だから、夕方まで屋上でゆっくりと時間を過ごす。
 小春日和だったが、夕方になると少し肌寒い。

 寒さから脱却するかのように、俺は帰り支度を整えて、小走りで帰る。



 その途中、まぁいつも目にしている光景に出くわした。

 男どもが、誰かを囲んでいる。
 まぁ、この辺じゃ日常茶飯事、巻き込まれた自分を嘆け。


「テメェ。俺たちが女に手を出さないと思って馬鹿にしてるんだろぁあ」

「殺しちゃうよ・・・キミぃ・・・」


 まぁ、どこの不良も言う様な三流のセリフを吐いている。
 馬鹿な奴もいたものだ。

 素直に謝って金でも出していたら、何にもならなかっただろうに・・・


「自分の胸に手を当てて聞いて見るアル。どう考えても、私は悪くないアル」


 どこかで聞いたことのある声だった。

 今日初めて聞いた声で、一言二言しか話していないが、その透き通る声とアルの口調ですぐにわかる。


 アイツだ・・・

 まぁ、自分自身こんな不良に負けないくらいの力は持っていると思ってはいるが、


 面倒事はいやだ・・・



「お前達、自分のやっている事が良い事か悪い事かもわからないアルか。そんなに馬鹿か」


「本当にキレちゃうよ。テメェ・・・」

「俺達、別に短気じゃないけど、そこまで言われて、笑顔で帰れる程甘くないよ」


 不良たちは、いつ殴りかかるかと言うところだ。

 まぁ一触即発だな・・・



 自業自得とはいえ、明日のニュースで横の女が死んでしまったら寝覚めが悪い所じゃないだろうな。

 とか一人で考えていると一人の男が彼女に襲いかかった。



 バシッ・・・


 カラカラカラ・・・

 男の一人が顔を殴ったんだろう。メガネが勢いよく俺の目の前まで飛んでくる。




「あぁ・・・メンドクサイ・・・・・・」

 そう言いながら、時計を拳にはめる。
 まぁ、メリケンサックの要領でさぁ。

 まずは、襲いかかろうとした男の首筋に一発蹴りを入れた。
 そして、横にいるもう一人が呆然としている隙に、腹に一発拳をブチかます。

 もう一人の男の顎にアッパーカットを決めて、全員気絶したのを確認してから、女の方に目を向けた。


 呆然と一部始終をみていた桃色の髪の少女に俺は声をかける。


「大丈夫ですかい・・・。こんな時間、こんな所一人で歩いてたら、こんな奴らの格好の的になりやすぜ。」

 そう言いながら、時計を手首に戻して話をする。
 俺は足元にあるメガネを取り、彼女に渡そうとした。





 そこで、気づく。












 よくあるメガネを取ったら美少女だった。













 ってのはどこに行っても無いと思っていた。




 が、考えを改めることにした。


 桃色の髪の毛によく似合った大きな青い目・・・

 俺はその可愛さに一瞬、息を飲んだ。



 が、何も無かったかの様に、平静を装いメガネを渡す。


 相手は無言でメガネを受け取った・・・
 まぁ、こんな事があったら、そりゃショックも大きいだろうさ



「じゃ、今のところの脅威は無くなった所で、俺は帰りやさぁー」



 そう言って、背を向けて歩き出す。




 すると、声をかけられた。











「待てアル」











「まだ何かあんですかい?別に礼なんていらないでさぁ」
























「違う。お前に助けてもらわなくても問題なかったアル」






















「ハッ?何言ってやがる?」







 これが、俺達の奇妙な出会いだった。

















  

 沖田 総悟
  世間をさめた目で見ている。不良っぽいけど不良じゃない半端モノ。



  
 神楽
  謎の転校生。中国からの留学生らしい。



  
 銀八
  3年Z組の担任。人呼んで銀八先生












 002







 パラレル編の1話目です。満足していただけましたでしょうか?

 これから、二人にどのような試練が待ち構えているのかw
 それは私にもわかりません(オイっ)
 これを切っ掛けに色々と話を増やしていくつもりです!!

 感想ありましたら、お願いします^^











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