「まぁ、神楽ちゃん可愛いわ」



 笑顔で姉御が言う。

 いつものチャイナ服を脱いで、今日は浴衣を着せて貰った。


 姉御は 「私の昔のヤツが使えるわよね」 と言って、着せてくれた。
 姿鏡を見て、いつもの私とは違う私がいたアル。

 髪の毛は、後ろで結っており、牡丹と撫子柄の綺麗な浴衣を着せられた私がいたヨ。


「あ、姉御!!別人が鏡の中にいるアル!!」

「何言ってるの?神楽ちゃん今、鏡の中にいるのは正真正銘、神楽ちゃんアナタよ」


 笑顔で姉御は答えた。

 モジモジとその場でしていたら 「早く行かないと、花火始まっちゃうわよ」 と、ウインクをして、
 私を外へと連れて行ったアル。


 そして、肩を『パン』と叩いて 「楽しんでらっしゃい」 と言ってくれたヨ。












 そして、今、私は屯所の前でモジモジとしているアル。






 どうやって、総悟を呼び出したらいいアルか・・・



 悩んでいたら、ジミーが屯所から出てきて、キョトンとした顔で話しかけてきた



「あ、あのお嬢さん・・・誰か待ち人?それとも何かあったの」




 私は、モジモジしたまま、


「総悟・・・総悟を呼んで欲しい・・・」


 最後の方は、消え入りそうな声で言った。
 すると、ジミーは、何か焦った様に屯所の中に戻って行ったアル。







 そして、数分後、総悟が、やってきたヨ。
























 山崎が、可愛いお嬢さんが沖田隊長を呼んでいるというので、

 アホらしいと思いながらも、俺は屯所の門へ行った。




 丁度仕事もおわったことだし、何して暇をつぶすかねィ・・・










 するとそこには目を見張るような可愛い娘がモジモジと立っていて、





「そ、総悟・・・似合ってるアルか・・・」







 その時俺は、神楽だと悟った。俺は、少し気が動転しながら



「おぉ・・・そうだな。馬子にも衣装って奴でさぁ・・・」

 と、言うのがやっとだった。







 不覚にも神楽に見とれてしまった・・・


 立ってるだけで可愛いと思うなんざ

 やっぱり俺はアイツに惚れちまってらぁ・・・







「きょ、今日花火大会があるヨ。一緒に行こうネ」






「まぁ、お前がそう言うんなら、行ってやっても良いゼ」


 そう強がって言ってみたが、内心ドキドキが未だにおさまっていない。






  あとで可愛いとか言ってた山崎を半殺して、頭のセーブデータけしとかねーとな・・・




「ほ、本当アルか!!ヤッタ!!一緒に行くヨ」





 そう言って、俺の手を引っ張る神楽。



 俺は、それに引きずられるように河原に向かった。





































 夕焼けに空が染まり始めた頃、





 もう、河原は人でごった返していた。















 人混みに酔いそうだ・・・














「多すぎアル」




「本当に・・・殺してやりてぇ位でさぁ」












 二人、イライラとしながら花火が始まるのを待っていた。























 が、俺も神楽も待てなかった。



 俺も伊達にこの街を知らない訳じゃない。
















「少し、離れやすが、穴場スポット行きやしょうか・・・」






「それがいいアル。このままじゃ、爆発しちゃいそうネ」












 そう言って、人ゴミから脱出した。

































「もうそんなに時間はねぇ。急いで行くぜぇ」


 手をひきながら追われるように路地裏を縫うように走り・・・


























 そして、誰もいない、静かな神社についた。











「ココでさぁ」







 そう言った途端      『ドーン』  と花火があがる音がする。










「ココじゃ全然見えないアル・・・」


「こうしたら見えるんでさぁ」






 そう言って、神楽を持ち上げ肩車をする






「な、何するアルか!!」




 暴れる神楽をなだめる様に言う





「何って、前もやった事あるじゃあないですかい」



「あの時は、逆だったヨ」






 その瞬間    『ドーン』     と花火が上がる











「あっ、キレイ・・・」










「だろ。俺が見つけた一番の特等席だからな」









 俺は、花火の光に照らされる神楽に見蕩れながら














「本当に綺麗でさぁ・・・」








「ホントアル。総悟こんな方法見つけるなんて天才ヨ」











 その笑顔が眩しく、俺にうつる。






 赤くなっている顔を見せたくないので、俺は話を花火に戻した














「ほら、次のが目玉の特大花火ですぜ」







「本当アルか!!」

















 興奮している神楽の体を通して俺にも、楽しさが伝わってくる。




































「たまやー」




















「かぎやーアルー」







































 目玉の花火が終わると、神楽は俺の頭の上に手をのせて頭を撫でてきた。






「なんでぇ」







「何って、いい子いい子してやってるアルよ」






 恥ずかしくなり、頭から湯気が出た気がした










「なっ、どれだけ俺の方が年上だと思ってるんでぇ」







「そんなの関係ないアル。こんな特等席で見れたのは、総悟のお陰アル」

















 そう言って、神楽は体を曲げ俺の目線に来る。





























 もちろん逆向きだが・・・









「だから、ご褒美アル」
























 その言葉と同時に額に『チュッ』とキスをされた。















 俺が呆然となっていると、神楽は俺の肩車から降り、少し離れた所まで歩いて行く。



 照れた様な顔で手を後ろに組みながら、振り向き様に俺を笑顔で見つめた。









「じゃ、一緒に夜店見に行くアル」


 











 とんだ、小悪魔じゃねぇですかい。








「なら膳は急げって言いやさぁ」






 キスのお返しとばかりに、神楽の指を自分の指に絡ませて・・・俺達は走りだした。





























 -おわり-
















 沖田+神楽ちゃんだと、きっとここからが本番だと思われます!

 祭り囃子として大活躍^^















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