どこをどう走ったか覚えてなかったが、目の前の道を走った
 全力疾走をしている為か、息が切れた。


 でも、構わず走り続ける。



「当たって砕けりゃーいい事じゃねぇでさぁ」


 そう自分に言い聞かせながら、走る。




 ある程度、走った所で、チャイナとばったり出くわした。

「おう。チャイナ。少し話しがあるんでぃ」

「何アルか。ハァハァ・・・ちょうど・・・私もサド丸を探していた所ネ」



 チャイナも走っていたらしく、肩で息をしている。


 また、殴られる可能性を視野に入れて向かい合わずに、二人並んで歩き出した。

 もう夕闇が迫っている時間帯。








「で、チャイナ。話ってなんでい」

「チャイナじゃない。神楽アル。ちゃんと呼んで欲しいアル」



 チャイナ・・・いや、神楽と一緒に河川敷を歩いている。


 二人、ここまで無言・・・
 俺は、痺れを切らして自分から声をかけた。




「で、か、神楽・・・話ってのは何でぃ」


「今朝の話ネ。ゴメン痛かったアルね。私、サド丸を殴ってしまったヨ」

「いいって事よ、で、お前を呼び捨てにするんだから俺も、サド丸とかじゃなくて、総悟でいいぜ」



「総悟アルか・・・」

 自分で、言っておきながら気恥ずかしさが満開である。


 初めは沖田でも良かったか、とも思いながら話を続ける。

 いきなり名前を呼ばれるのは心臓に悪い・・・
 だけど、ここまで来て、引き下がる訳にもいかない。

 出来るだけ、深呼吸をし、声にならない声で話し出す。



「でー、だ・・・。俺気付いちまったんだけど、神楽オメェに惚れちまったみてぃだ」






「・・・・・」



 無言。

 当たって砕けろと言われたが、砕けてしまうと辛いもんだ。



 俺も、まだまだ甘いってことかぃ


 数時間経ったかと思うくらい長い時間が過ぎた気がした。









 神楽の表情は傘に隠れて見えない、ムリならムリと言ってくれた方がすっきりする・・・






「総悟・・・ホント・・・アルか?」


 やっと神楽が声を出した。

 震えた、小さな声だった。



「武士に二言はねぇ。マジでぃ」


 多分、今までした事の無い真面目な表情だった。




 すると、神楽は傘をあげ、こちらに目線を向けた。

 神楽の顔は夕日に照らされて顔色はわからない。







 だが、俺を見つめている。


 そして、神楽は目をつぶった。



 またドキンと俺の鼓動が高鳴る。

「それじゃあ、ちゃんとキスして欲しいアル。あれがファーストキスじゃ嫌アル」





「って、事はOKって思っていいんですかぃ」









 ダメ押しの様に聞く。






「そうアル。私も総悟の事好きみたいアル。考えてたら心がポカポカする。


 銀ちゃんでも新八でもない心の温かさをくれる。これが恋だと姉御に聞いたアル」


 反則だろ・・・チクショー、なんて顔しやがるんだ。




 目をつぶって、モジモジとしている神楽を見て、改めて自分が惚れている事を確信した。







「早く・・・して欲しいよ・・・恥かしいアル」


 俺も恥ずかしいに決まってんだろい。
 だがここで、安心させるてやるのが漢ってもんだろ。




「これが2人のファーストキスでさぁ」


 唇が重なり合う。

 抱き寄せて、アイツの髪に顔をうずめた。




 髪の毛から、アイツの香りがする。



「銀ちゃんに怒られるアル」


「こんなときに他の男の事を考えるなんて野暮ってもんでさぁ」





 一層力をこめて抱きしめると、腕の中でアイツが笑った。

 俺もつられて笑った。















「こんな強敵はお前が初めてだぜぃ」


「そりゃそうネ。私と総悟は最大のライバルアルから」





 真っ赤な夕日の中、神楽は言った。





















「違いやすぜ・・・」



























「俺達は、最高のカップルでさぁ」


















 神様がいるかは知らねぇけど・・・


 この幸せをくれたんなら、感謝しやすぜ・・・























 - おわり -



 

第五話でした。楽しんで貰えたら幸いです。

 何とか最終回にたどり着きました。
 感無量です。ハッピーエンドですv
 この続きは、機会があったら書きたいなぁと思ってます!!

 感想がありましたら、連絡お待ちしています^^
 最後まで読んでくださいまして、ありがとうございました ('-'*)アリガト♪







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