ある夏の一日




 夏の木陰で、昼寝をしているコイツの寝顔も見あきてきた所だ。
 何で俺が、膝枕をしてるんでぃ。

 普通は女がやるもんじゃねぇのか・・・



 暇すぎて、俺は、コイツの鼻を掴み息を止めてみる。



「フガッ・・・もう食べれないアルよ・・・」


 手を振り払い相変わらず夢の中だ・・・
 面白くないので、ほっぺたをプニプ二とつつく。

 くすぐったそうに顔をそむける。

 そむける顔を追う様にプニプ二つついていると・・・


「ああ!!鬱陶しいアル!!何するか!!」


 キレて起きてくる。
 今の若けぇ奴らはキレやすくてたまんねぇぜ・・・



「総悟。私の睡眠時間を削って、何か得する事あるのかヨ」


 いつ殴りかかって来てもいい様な体制で、俺に質問をしてくる。


「何って、2時間も俺の膝で寝てて、ヨダレ垂らされてたら、もう我慢なりやせんぜ。
 股間もヨダレでびしょ濡れでさぁ」



 そう言って、溜息をつき、神楽に近づく。
 やっと、暇な時間も終わりそうだ・・・

「眠り姫を起こしたんですから、それなりの奉仕はさせて貰いやすぜ」


 笑顔で俺への警戒感を解くように話す。



「本当アルか!!酢昆布買ってくれるのか?」


 嬉しさが顔に浮かんでいる。現金な奴でさぁ・・・
 でも、今日は別の事を考えていた。


 俺は、耳元に向けてゆっくりと笑顔で言った



「今日はお前と二人で『セ』のつくことがしたいんでさぁ」

 神楽の顔は見る見るうちに耳まで真っ赤になり


「ナッ、何言ってるアルか!!私達健全なお付き合いアルよ!!」



 アタフタとしている、神楽に向かって俺は、決定的な言葉を投げかける。


「なぁ、神楽・・・俺じゃダメですかい・・・」




 とても悲しそうに、神楽の足元を見て問いかける


「そ、そんな事・・・無い・・・アル」

 俺が顔をあげると、恥ずかしそうにしている神楽がいる。
 可愛くてたまらねぇでさぁ・・・



「じゃあ、こっち来てくだせぇ」



 そう言って、ベンチの後ろの木に引っ張っていく。


「なッ・・・総悟・・・痛いッ・・・アルよ・・・」


 わざと、力を込めて神楽を引っ張り、木が背になる様に持っていく。

 そして、肩に手を置き、唇を合わせる・・・




 いつもより、少し長めに今日はした。

 そして、ふわりと鼻腔に桃の香りを感じながら、耳元に囁く。


「もう少し、ピシッと立ってくだせぇ」


 神楽は、潤んだ目を俺に向け懇願したような声で


「初めてなのに、外は嫌アルよ・・・」



 そう俺に囁く。
 俺は、それに対して、笑顔で切り返す。


「大丈夫でさぁ、家の中でやってもいいですが、俺は今ここでやりたいんでさぁ」


 そして、肩を少し強く握り




「大丈夫でさぁ。全て俺に任してくだせぇ」





 そう、真正面から力強く神楽の目を見つめる。

 すると、観念した様に神楽は目をつぶる。



「お願いヨ・・・痛くしないで・・・」

「もちろんでさぁ。背筋を伸ばして立っててくれりゃ、スグに済みますぜ」


 少し緊張の解れた神楽の体を抱きしめ、口づけをする。


「スグでさぁ。お前に、痛くなんて俺にはできねぇよ」




 その言葉を聞き、再度強張る神楽・・・







 強張り過ぎて、震える神楽の頭の後ろの木に「シャッ」と印をつける。


















「終わりやしたぜ」













 してやったりの顔で、俺はキョトンとしている神楽を見る。






「何したアルか・・・」




「何って・・・『セ』のつく事でさぁ」





 笑顔でそう答える。





「『セ』のつく事って・・・」


「『せいくらべ』でさぁ。一人じゃできやせんからね」




 意地悪そうな、顔で俺は神楽に答える。
 そして、それ以上に意地悪な質問を神楽にする。


「何ですかい?神楽オメェは何か別の『セ』のつく事でも考えてたんですかい」


「そ、そそそそんな事無いアル!!」



 顔を真っ赤にして否定する神楽に俺は楽しくなり、


「何だと思って、そんなに顔を赤く、体を強張らせていたんですかい」



 自分でも意地悪すぎる質問だとは思ったがしたくてしょうがない質問だった


「セッ、セッ、セッ・・・世界陸上の織田ユージのモノマネをしないといけないかと思ってたアルよ。『地球に生まれて良かったー』」



 苦し紛れの言い訳とモノマネを聞き、俺は笑いが止まらなくなる。


 息が苦しい・・・


「ナッ、何で笑うネ!!笑う所じゃないアルよ!!」


 俺は、息を整え、目に溜まった涙を拭い、神楽の頭に手をのせ撫でる。


「そうですかい。そりゃ、緊張しやさぁねぇ。クックック」

「笑うな!!私も恥ずかしいアルから!!」


 そう言う神楽は耳まで真っ赤で俺に抗議してくる。
 その微笑ましい態度を見て、俺は耳元に呟く。


「初めては、大切でさぁ。俺も神楽の事を考えてからやりまさぁ」


 神楽はまたも顔を真っ赤にし、俺は満足して神楽に背を向ける。

 すると、背中越しに神楽の声が響いた



「総悟のバカヤロウ・・・。裏切られたと思ったヨ・・・」





 俺は、その言葉を聞いて嬉しくもあり、気恥ずかしくもあった。









 一層、蝉の声が大きくなる中、俺はベンチに戻った。













 -おわり-






 桜様のリクエスト。『神楽をいじめる沖田』という事でしたので、
 少し悪乗りをして書いてみましたw

 満足してもらえたでしょうか?

 少しでも、喜んでもらえたら幸いですm(._.)m

 この小説を桜様に捧げます!!





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