今日は、銀ちゃんも新八も万事屋不在アル。

 ここの主は私ヨ。



 なのに、こんな時に限って・・・








「嫌アル!!」

「何言ってるんでぇ。もう食ったじゃねぇか」




 私は、ソファーに立って抗議したヨ。



「詐欺アル!!鮭茶漬け食べさせた後にいうなんて」

「チャイナは、こんな簡単な仕事も出来ねぇんですかぃ」


 向いのソファーに座ってお茶を飲んでいるサド丸が、鼻で笑って言ったアル。


「な、何言ってんだよコラ!!上等だヨ!!こんな仕事簡単すぎて欠伸が出るネ!!」








「アッ・・・」

「・・・・・・・へぇ」


 アイツはニヤリと笑って勝利宣言をしたヨ。














 最悪の気分で江戸の街に出たアル

 『 今回の任務は沖田総悟をストーカーから警護及び、1日デートのふりをする事だ!! 』

 って、テメェ誰だヨって奴が今日の任務をわざわざ説明してきたアル。


 大きなお世話ヨ。




「何したらいいんだヨ」

「まぁ、今日一日、俺の女を演じてれば良いでさぁ。多くは望みませんぜ」


 って、馬鹿にしたようにで笑いやがった。



 ほんとムカつく奴アル。



 お返しに思い、わざとイチャつく事にしたネ。




 アイツに腕を絡ませて 「 アソコの茶屋で休憩したいアル 」 と猫撫で声でいったヨ。

 そしたら、アイツは鳩が豆鉄砲食らった様な顔をしたネ。



 フフン勝ったアル。






 茶屋で、団子を食べながら、

「なぁ、サド丸。何で追いかけられる様になったアルか?」


 私は、正直に質問したヨ。

「まぁ、単純な事なんでさぁ。俺が絡まれていた、その女を助けたんでぇ。そしたら、毎日、屯所に来るようになり、
俺のスケジュールまで何処かから仕入れてきやがって、俺の事、追い回してくるようになったんでさぁ」


「サド丸追い回すなんて、どれだけ趣味悪い女アルか。アホ丸出しネ」

 私は、馬鹿にした様な顔で言ってやったアル。


 すると、アイツの顔が豹変して


「これ以上付きまとわれたら、剣の錆にしそうなんでさぁ。正当防衛になるよなぁ。」



 って、ヤバイ笑いをしはじめたから

「塀の中もきっといい所ヨ。入ってたら女もサド丸の事忘れると思うアル」


 って答えてあげたヨ。

 二度とシャバに出てくんな。このドS野郎が!!





 そんなこんなで、私たちは、デートのマネごとをしたネ。

 まずは、お昼前に公園に行ったヨ


「じゃ、ボートでも、乗りやしょうか」

「ボートって、モンキーターンするヤツか!!燃えてきたアル」


「違いやすよ。アレでさぁ」

 そう言って、池の上に浮かんでいるボートを指す。
 周りでは何人かのカップルがイチャイチャと優雅にボートを漕いでいる。





「何が、面白いアルか?」


「さぁ、俺も近藤さんから貰った『大江戸ウォーカー』のチェックが入っていた所に来ただけでさぁ」






 多分、姉御と行く事を夢見て、付箋だらけになっている大江戸ウォーカーを私に見せる。

 なんだか悲しくて、少し涙が出てきたアル・・・







 そして、二人でボートに乗ったアル。


 アイツは機械的にボートを漕ぐ。



「・・・」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・」

「何か喋れヨ」

「テメェが喋れ」


 そんな感じで、二人立ち上がり喧嘩になりそうになった時・・・


「なぁ、チャイナ・・・水、入ってきてねぇか」


「そうネ。ボートの真ん中にポッカリ穴開いてるみたいアル」







「・・・チャイナ、テメェそんな悠長な事、言ってねぇで早く陸に戻るぜぃ」

「・・・おうヨ」



 そう言って、二人は速攻でボートを漕いで岸につけ、

 乗り場のオッサンに



「服濡れたアル。どうしてくれるんだヨ」
「テメェ。俺に濡れた服で街歩けって言うですかぃ」


「そうアル。こんな服じゃデート出来ないアル。オヨヨヨヨ・・・」
「俺の女が泣いてるじゃあネーかよ。どう落とし前つけてくれんでぇ」


 って、感じで二人ネチネチとオッサンに因縁をつけて


 クリーニング代と、迷惑料を二人でふんだくってやったアル。





 チョロいもんアル・・・







「じゃあ、次は昼食といきやしょうか」

「早く行くヨ。さっきの騒動で腹減ったアル」


 そう言って、アイツは大江戸ウォーカーを開けて『口説くならココ』って付箋が貼っているレストランに行ったアル。


「おまたせ致しました」

 って、色んな料理が運ばれて来る。

 ひっきりなしに飯が来る。

 私は、至福な顔をしながら、飯にかぶりつく。


 アイツも負けじと食べていた。

 バイキングかと思う程食べて、腹も満たされた頃アイツは




「すいやせん」

 と、ウェイトレスを呼び。

 店長を呼んでくるように言ったネ。

  そして、


「この店は、どうなってんでぇ。俺が頼んでねぇ料理ばっかし運んで来やがってよぉ」
「そうアル。そんな脂っこいものばっかし食べたら、お腹の子に悪いヨ」


「どうしてくれるんでぇ。テメェらのせいでコイツの腹の子に何かあったらどうするんでさぁ」



「うぅ・・・気持ちが悪いアル・・・うぷっ」

 って、感じで二人グチグチと店長をいたぶって、迷惑料と全部無料にしてもらったアル。


 そして、二人で店を出た所で




「やるじゃねぇかぃ」

「テメェもな」


 二人で不敵な笑みを浮かべたヨ。











 夕方になり、アイツは大江戸ウォーカーを広げハートマークが沢山ついた付箋の所に向かったヨ。

 歩いて行くと、カップルがイチャついきながら、行き来する所に着いたアル。




「ここで一服でさぁ」


 そこは、お城をモチーフにした、めるへんな所だったアル




「趣味わるいアル」

「そんな事無いでさぁ、近藤さんが油性マジックで直に、

             『  絶 対 に お 妙 さ ん と 行 く  』

                                    って書いている所なんだから大丈夫だろ」

 思い出してみると、前にメガネを尾行した時に見たホテルだったヨ。


「あ、ココ知ってるアル!大人が運動をする所ヨ」

「旦那・・・コイツに、どんな教育してるんですかい」



「早く行くアル」


 アイツが、私を連れて中に入ろうとした時、







 裏路地から女がやって来たネ。




 見た目は、腰まで伸ばした髪を綺麗に結っていて、パっとみ清楚な女だったアル。


 でも、目がヤバくて、負のオーラをかもし出してるヨ



「沖田様・・・この女誰ですか?」

 震えた声を出し、ふらふらと近付いてくる。
 それに対して、いつもとかわらない様子で、アイツは私の肩を抱き

「見てわからねぇか?俺の女でさぁ」


「そ、そんな娘、今までいませんでした!!そういませんでした!!」

 思いっきり左右に頭をふり、アイツの言葉を否定するように叫ぶ。



「オメェが知らなかっただけでぇ。わかったか。俺にはコイツがいる。だから俺の事は諦めろ」


 チラっと女は私の方に目を向けて来たアル。

「諦めろヨ。今からコイツは私と一緒にアソコで運動してくるアル」

 と、私はダメ押しに言ったヨ。




「な、何てことを・・・この泥棒猫!!アンタなんかに沖田様は渡さないわ」


 女はもう一度、沖田の方に顔を向けると、追い詰められた表情をして



「あんな女、あんな女に・・・」


 同じことを繰り返して、懐から短刀を抜き出した。


「あんな女にとられる位なら!!」

 大声を張り上げて、抜き身の刃をかざして走ってくる。


 嫉妬・・・

 それからくる悪意・・・

 いつもの殺気とは違う、ごちゃごちゃになった真っ黒な物を浴びて怯んだ隙に、
 もうストーカーは、手の届く所まで来ていたヨ。

 サド丸なんてどうでもいいアル、いつも馬鹿にしてムカつく奴ヨ


 でも、これは仕事ネ

 目の前に短刀が迫ったところで、



「お前は、私が守るアル!!」


 アイツの前で仁王立ちをして、確信したネ。






 短刀が私の体を斬る事を・・・


 だけど、


 いつまで経っても、自分に痛みは来なかったアル。

 代わりに背中に体温を感じたネ・・・もしかして。



 女が 「キャッ」 と叫んだ声で目を開ける。

 目の前には、尻もちをついてる女がいて、アイツは・・・。




 顔を上げると、咄嗟に私を腕の中に引き込んで、

 短刀を払い、左手で私を庇ったアイツがいたアル。





 腕には大きな傷口が出来ていて・・・沢山血が流れてるアル。




「何でアルか・・・」


 私は、呆然と、アイツを見上げていた。


「なんで・・・何でこの女を庇うんですか!!」

「言ったろ。コイツは俺の女だって」



 すると、不意に私を抱きしめ、私の唇を奪った。

 一瞬の出来事で何が何だかわからなかったアル。



 キスは優しくて、嫌じゃなかったヨ。


 アイツはとても冷たい目で女を見て




「これ以上、俺に近づくんじゃねぇ。それにコイツに指一本触れてみろ・・・」

























「次は・・・殺す・・・」










 怒気をはらんだ声で言うと、

 女は、泣きながら走って去って行った。






「あのストーカーにわざとやられて正当防衛でヤっちまおうと思ってたんですがねぃ、まさかテメェが前に出て来るなんて・・・」


 そして、呆然としている私にアイツはギュッと抱きしめて来たアル。




「怖い思いをさせて悪かったな・・・大丈夫か」


「なっ、何言ってるアルか。全然平気ネ!!」



 と、強がって言ってやったアル。


 本当は、メッサ怖かったけど、アイツの事がわかった気がするネ。




 Sだけど、ちょっとイイ奴アル・・・ちょっとだけ。



 だから、ギュッてし返してやったヨ。






 二人ギュッとしたら、何故だか心が温かくなったネ。





















 もしかしたら、アイツの事嫌いじゃなくなったかもしれないアル・・・。






















 -おわり-











 泊蝠マお待たせして、申し訳ございませんでした(´□`;)

 ことり様のキリリク(2000hit)『「ぎゅっ」とする二人』でございます!!
 まだ二人が付き合う前の話で、考えたのですが満足していただけたでしょうか?

 気に入ってもらえれば幸いです(ノД`)・゜・。

 この小説をことり様に捧げます☆









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